医療法人 清田病院
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外科・消化器外科・内視鏡外科・肛門外科
外科・消化器外科・内視鏡外科・肛門外科の紹介
 当科では主に消化器(胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓)、肛門(痔疾患、脱肛)、ヘルニアを中心に、呼吸器(肺、気胸)、甲状腺などの良,悪性疾患の手術を行っています。
また外傷、陥入爪(嵌入爪)、粉瘤(体表のおでき)などに対しては外来で局所麻酔での治療を行っています。
 2008、2009年の総手術件数は中央手術室での件数が258件、240件で、外来手術件数が142件、93件となっており合計はそれぞれ400、333件でした。その他、中心静脈持続注入用埋めこみ型カテーテル(CVポート)造設術なども施行しています。

 最近の当院での傾向として患者さんの痛みを軽減させ、小さな創で喜んで頂ける腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術を積極的に導入しています。腹腔鏡下手術は2008年度61例でしたが2009年度は74例と増加しています。
最近ではSILS(Single incision laparoscopic surgery)という臍(へそ)に2.5cm前後の皮膚切開を加えるだけで胆嚢あるいは大腸を摘出する手術も導入しています。腹腔鏡下手術は大腸癌、胃癌、あるいは鼠径ヘルニア(脱腸)や脾臓摘出術、肝腫瘍に対するラジオ波凝固療法に対して適応を拡大しています。

 腹腔鏡下手術以外では、治療に対する専門性が必要とされる胆嚢および胆管、膵臓の悪性疾患にも積極的に取り組んでいます。胆膵領域は、いろいろな臓器に囲まれているゆえに,治療に関しては細心の注意が必要です。難易度が高いと判断された症例は北海道大学病院 (腫瘍外科)への紹介も含めて全面的にサポートしますので安心して受診あるいはご相談して頂ければと思います。

 外来手術では爪が食い込んで痛みを伴う陥入爪(嵌入爪)(かんにゅうそう)という疾患に対して、フェノール法という以前の治療法に比べて侵襲が少なく除痛効果の高い治療法を取り入れ、その効果を実感して頂いております。

 癌の治療については手術のみならず、癌化学療法 (抗癌剤の治療) 及び疼痛コントロールを含めて集学的な治療を行っています。当科医師はいずれも消化器外科学会専門医、指導医でかつ日本がん治療認定医であり、癌化学療法の副作用に対して十分な対策を講じ、患者さんの病状や体力にあわせて個別の治療をサポートしていきたいと考えています。
胆石症
胆嚢(たんのう)の機能
 肝臓は重さ約0.9-1.3kgの臓器で右の肋骨下に潜り込むようにして存在しています。ここで<脂肪の分解を補助する消化液>である胆汁が作成されます。胆汁は一日に600~1000ml産生され黄金色をしています。肝臓内で、木の枝の先から幹の方向に向かうようにして肝内胆管を流れ、やがて本幹である総肝管から総胆管へと流れていきます。胆石の存在する胆嚢は肝臓のやや右側に一部接して垂れ下がっており、 総胆管とは胆嚢管で交通しています。胆嚢の大きさは8x4cm以下とされており、一般的にナスの様な形状をしています。胆汁は胆嚢に貯蔵されている間に水分が吸収され濃縮されます。食事を摂取すると、胆汁は再び総胆管を介して十二指腸に流れ、脂肪に絡まって分解するのを補助する仕組みになっています。
 この胆汁の成分が結晶化あるいは沈殿化することから胆石の原点となる泥砂ができ、一部は結石になっていきます。
胆石発作の症状
 胆石の症状としては右季肋部痛、発熱などが一般的です。但し痛みの部位は個人差があり右肩が痛くなる人や心窩部痛(みぞおち)あるいは臍の周囲が痛くなる方もいます。発熱は胆嚢内あるいは胆管内に細菌が入り込むことにより生じ、ひどい場合は敗血症や重篤な状態に移行することがありますので注意が必要です。続いて結石が胆嚢の根部や総胆管にはまり込むと黄疸を生じることがあります。無症状の人も20-25%程度います。症状が出る方は再度起こる可能性があるため手術をお勧めします。
胆石の手術治療
 治療は石だけを取るのではなく胆嚢を摘出して治療するのが一般的です。一部の施設では症例によって、体外衝撃波で砕く治療を行っている施設もありますが当科では手術治療を行っています。手術治療には従来から施行されてきた開腹手術と腹腔鏡下手術があります。
 開腹手術は右の肋骨に沿って約10-15cmの切開をおいて直に胆嚢を摘出する方法で、癒着が強い症例では腹腔鏡手術に比べて他臓器の損傷などの危険性を減らすことができます。
 腹腔鏡下手術は小さな孔を4か所開けて臍下の孔から炭酸ガスを腹腔内に送気してお腹を膨らまします。その状態で先端に小型カメラを有する腹腔鏡を挿入してお腹の中をテレビモニタに映しだし、 幅3-5mm程度の手術器具(把持したり切ったりする装置のついた鉗子)を駆使して胆嚢を摘出してきます。創が小さいゆえに美容面で優れ、痛みも少ないため早期退院が可能になり現在では胆石症の標準治療法となっています。ただし前述しましたが癒着の強い方や上腹部(胃や十二指腸)の手術の既往がある方は安全面を考慮して開腹手術を勧めることがあります。また、腹腔鏡手術から手術中に術式を変更することがあります。最近は孔を1-2個以内に減らした単孔式腹腔鏡下手術も取り入れて好評を得ています。
胆石の手術の合併症、注意点
 手術の術中および術後の合併症としては、胆石症診療ガイドラインによれば胆管損傷は1990年から2005年までに施行された腹腔鏡下胆嚢摘出術254,205例中、 術中で1,107例、 術後判明した症例が641例で併せて1748例 (0.69%)に認められており、他には出血(0.68%)、 腸管損傷(0.2%)、 肝損傷(0.04%)、膿瘍、 腸閉塞などが報告されています。最善の注意を図って手術を施行していますが、このような合併症が生じた際は緊急で追加処置、あるいは再手術を要することがあります。また手術関連死亡率は0.0001%となっています。
胆石の手術後の経過
 手術後の経過については手術6時間後から飲水可能となり翌日から食事開始としています。創の状態あるいは痛み、合併症の有無によりますが、ほとんどの方は術後1週間以内で退院されています。手術後の顕微鏡の検査結果で胆嚢に悪性腫瘍が発見されることが稀にあります。その場合は再手術を含めた追加治療を要することがあります。
ソケイヘルニア
ソケイヘルニアとは
 ソケイヘルニアは“脱腸”ともいわれていて、お腹にある小腸などの臓器が大腿の付け根やや上方(ソケイ部)の筋膜の間 から皮膚の下に出てくる病気です。立ち上がった時やお腹に力を入れた時に、ソケイ部が飛び出ていたらソケイヘルニアの可能性があります。日本では年間14-15万人、 アメリカでは年間80万人の患者がいて男性が80%以上を占めます。
 立ち仕事など腹圧のかかる仕事に従事している人に多く認められ、便秘症、肥満、妊婦なども要注意といわれています。
注意すべき“嵌頓(かんとん)”
ヘルニアの突出部をヘルニア嚢といいますがここに小腸や大網、女性の場合は卵巣や卵管などがはまり込んで抜けなくなることがあります。これを嵌頓といいます。嵌頓するとソケイ部の突出のみならず,痛み、圧痛(押すと痛くなる所見)を認め、小腸が挟まった場合、数時間で腸閉塞(イレウス)症状として嘔気、嘔吐、腹満が出現して放置すると腸穿孔から腹膜炎に至ることがあります。
ヘルニアの治療
 治療は手術です。ヘルニアバンドで脱腸を抑え込むのは一時的であり、治すには手術が必要です。方法としては従来法(バッシーニ法)、人工物を使用する方法(クーゲル法、メッシュ&プラグ法、リヒテンシュタイン法、プロループ法etc)、腹腔鏡下手術などがあり患者さんの状態により臨機応変に対処します。従来法は再発がやや多く、手術後のツッパリ感など副作用が多いため特別な状態以外では第一選択にはなりません。当科では最近はプロループ法を主に行い、希望する人には腹腔鏡下手術を行っています。
プロループ法で用いているプラグとメッシュを呈示しますが、従来の製品より糸の総量を少なくすることで痛みや異物感を減らしています。
プロループ法のプラグ(上)とメッシュ(下)
プロループ法のプラグ(上)とメッシュ(下)
腹腔鏡下ヘルニア修復術
 腹腔鏡下ヘルニア手術は創が極めて小さく、痛みが更に少なく済むことと、2つのヘルニアが同時にあった場合に腹腔鏡の手術では下記に示す通りヘルニア嚢は“孔”として認めますので見落とす心配がないことが長所になります。
 腹腔鏡下ヘルニア修復術は優れた術式ですが、全身麻酔が必要なこと、及びお腹の中から手術するため、稀ですが腸管損傷や腸閉塞などを起こす危険性があります。また全身麻酔になるため、全身状態のあまり良くない方や肺、心臓に病気を持っている方にはお勧めできません。
腹腔鏡下手術一ヶ月後の創の状態
手術の合併症
 手術の合併症として重大なのは感染(化膿)で,メッシュなどの人工物に細菌がしみ込んで難治性になるとこれを除去する手術が必要になる可能性があります。また手術した部分に組織液や血液が貯留すること(水腫、血腫)があります。再発については1-5%と報告されています。手術後は当日から水分、食事を開始し,上記合併症に注意しますが、多くの方は、痛みの程度により翌日から1週間以内に退院されています。当院では早期退院希望の方だけでなく、少し痛みが取れてからの退院を希望されている方にも対応しています。退院後は外来に1-数回受診していたき、経過を診させていただきます。
陥入爪・嵌入爪(かんにゅうそう)
陥入爪・嵌入爪(かんにゅうそう)
 陥入爪(嵌入爪)とは爪が皮膚に食い込んで痛みを伴う状態で悪化すると感染(化膿、腫れ)を伴うことがあります。原因としては巻き爪、深爪、足に合わない靴の着用、白癬(水虫)などがあり、遺伝的な要因で起きることもあります。巻き爪があるだけでは陥入爪(嵌入爪)とは言わず、症状を伴ってはじめて陥入爪(嵌入爪)となります。陥入爪(嵌入爪)で痛みを伴っている巻き爪の部分だけを切除します。
様々な陥入爪(嵌入爪)
陥入爪(嵌入爪)の治療
 陥入爪(嵌入爪)の治療法としては手術療法と保存的方法があり手術療法としては抜爪術、鬼塚法、フェノール法などがあり、保存的療法にはクッション材の挿入や、爪矯正術があります。
治療法 痛み 治療期間 再発率 その他
クッション材挿入 陥入部分の痛みのみあり 半永久的(根治性がない)  
矯正法 陥入部分の痛みのみあり 数ヶ月  
鬼塚法 1週間は鎮痛剤必要 1~2週間  
フェノール法 ほとんどない 2~3週間 感染中も手術可能
当科での治療 (フェノール法)
 当院では外来で30分程度の手術で済むフェノール法を取り入れて患者さんに好評を得ています。インターネットの情報などでは「強烈な激痛を覚悟して治療する」とありますが、当科の方法ではほとんど痛みはありません。手術当日だけ痛み止めを飲み、翌日からは飲まない方がほとんどです。
手術は、最初に陥入爪(嵌入爪)の付け根に細い針を用いて麻酔を行います(Oberst変法)。少しずつ麻酔をすることで殆ど痛みは感じません。陥入爪(嵌入爪)で痛みを伴っている巻き爪の部分だけを根部から切除します。麻酔が効いていますので全く痛くありません。フェノールを用いて爪を切除した部分の爪母細胞を腐食させ再発しないようにします。あとは中和剤でフェノールをふき取り、軟膏とガーゼを創部にあてて終了です。
手術後の経過
 手術後に傷が乾くまで2-4週間かかりますが、とくに異常がないかぎり、通院は手術翌日、1週間後、2週間後の3回程度です。その間は自宅で簡単な処置をしていただきます。手術翌日からシャワー浴が可能ですが、4-5日間はできるだけ水濡れを避けることで傷がきれいに治ります。手術時にひどく化膿している場合、少し通院回数が増えたり、簡単な処置が必要になる場合があります。再発率は0ではありません(30-50人に1人と予想されています)が、他の方法と比較して低いと考えられています。
手術前後の爪の状況
手術前後の爪の状況
痔の治療について
痔とは
 肛門の病気で最も多くの方が患っているのが痔です。成人の約3割の方が持っているともいわれます。おしりを見せるのが恥ずかしい、痔であることを知られたくない、おしりの診察・治療は痛い、手術には長期間の入院が必要だと思っていたりして、病院を受診しない方がたくさんいらっしゃいます。特に女性の方には痔の原因となる便秘症である方がたくさんおられ、また妊娠・出産などによって痔を患っているあるいは症状が悪化している場合があり、案外多くの方が困っているものと思います。
 痔は恥ずかしくありません。年齢、性別にかかわらず誰にでも起こる病気です。
痔の予防法
 生活習慣の改善で痔の予防や症状を和らげることができます。
1. 便器に長時間座ったり、長い時間いきんだりすると痔が悪化します。
2. 果物や野菜のような食物繊維の多い食事にしましょう。
3. 水分を多くとりましょう。
4. アルコールは控えましょう。
5. 適度な運動は血行促進になります。
6. 便秘薬の使いすぎによる下痢は、痔を悪くします。
7. 便意を我慢しないで下さい。
痔の種類
 痔には主に次の3種類が挙げられます。
1.内痔核・外痔核
「イボ痔」といわれ、肛門にイボ状のはれた部分ができる痔核というタイプ
痔核は最初の段階ではあまり痛みもなく、症状はありませんが、悪化していくと痛み、出血、肛門からの脱出などを起こし手術が必要となります。
【内痔核】
内痔核は、直腸の血管の流れが悪くなりイボ状になった状態です。あまり痛みは強くありませんが、排便時などに出血することがあります。これは痔の部分の薄い粘膜や血管が排便時に裂けたりするために起こります。内痔核が大きくなるほど出血しやすくなります。さらに進行すると大きくなったものが肛門の外にまで伸びることがあり、これを脱肛といいます。
症状が進むと指で内部に押し戻さなくならなくなったり、外に出たままになったりします。この状態になると手術が必要となります。
【外痔核】
外痔核は、肛門外側の血管の中で血液が固まって、こりこりとしたイボになった状態です(血栓性外痔核といいます)。症状は強い痛みですが、自然に裂けて出血することもあります。外痔核は、温浴、座薬や軟膏などの外用薬、内服薬などの保存療法で治療します。
痛みが強い場合には切開して血栓を取り出すこともあります。
【嵌頓痔核】
さらに、内外痔核がひどくなり腫れあがり、戻らなくなった状態を「かんとん痔核」と呼びます。激しい痛みがあります。
かんとん痔核の場合は、入院、点滴などが必要となり、かんとん痔核の腫れが引いた後に、手術を行うことがあります。
2.裂肛
「切れ痔」と呼ばれ、固い便で肛門が裂けたり切れたりして起こります。温浴、座薬や軟膏などの外用薬、内服薬などの保存療法で治療します。
3. 痔ろう
「あな痔」と呼ばれ、便に潜む細菌が感染しトンネルのようなものができてしまう病気です。治療は何回かに分けてトンネルを潰していく手術が必要になります。普通の痔核とは異なり治るまで非常に時間がかかります。
痔の治療法
 軽度の痔核や裂肛の場合は温浴、座薬や軟膏などの外用薬、内服薬などによる保存療法を行います。なんでもすぐに手術が必要になるわけではありません。痔は多くの方がもっていますのでまずは悪化を防ぐようにしましょう。
痔の悪化理由
1. 肥満
2. 排便中のいきみ
3. 長時間便座に座っている
4. 長時間立ちっぱなしでいる
5. 重過ぎるものを持ち上げる


しかし、肛門から痔が脱出したり、保存治療でも出血などの改善がみられない場合は手術治療が必要になります。
新しい痔の手術法:PPH法
 PPHは、痛みが非常に少ない治療法です。従来の痔核根治術では肛門粘膜を切るため、術後は非常に痛く辛いものでした。これに比べPPHは特殊な専用器具を用い、肛門管内の痛みを感じる神経がない部分を切除し、痔核の脱出を縮小するという方法で、痔核の血行を遮断するので痔核は次第に小さくなります。PPHの手術時間は、約20分です。入院期間も3泊4日程度と早期退院・社会復帰が可能です。

 最近増加している大腸癌でも排便時の出血など痔と症状が似ていますので、痔だと思い込み大腸癌の発見が遅れることがあります。
 肛門科の診察では、問診・視診・指診および肛門鏡・直腸鏡検査などを行います。症状によっては大腸内視鏡検査を行う場合もあります。なんらかの症状が気になった場合は、恥ずかしがらずに診察を受けていただくことをお勧めします。